そのあと、しばらく姉さんはいろいろと話していたが、ずっと俺が黙りつづけているのでついに諦めたのか、それとも呆れたのかはぁと深いため息をついた。




「もういいです、わたくしが今更何を言ってもあなたはどうせ聞かないんですよね。知っていますよ、昔からそうでしたもの」




「……」




「でも、これだけは言わせてくださいな」




すると、姉さんがいきなり近づいてきたと思ったら




パァァン




鈍い音ともに右頬に痛みが走った。




一瞬、何が起こったかわからなかった俺は痛む右頬を手で押さえ、呆けていると、視線の先にいる姉さんが涙目になっていることに気づいた。




「この大馬鹿者めがです!!」




涙ぐみながら姉さんは腰に片手を腰に置き、もう一方の手をこちらに向かってびしっと向けた。




「あなたはまた自分から大切なものを諦めたのです。そんなこと絶対に絶対にしてはいけないのです!!」




「……」




姉さんの言いたいことは痛いほどわかる。




わかるけど、それは全部無意味なんだ。




俺は諦めたんじゃなくて、ただ…





「うっわぁー…痛そう…」




「ひばりの平手炸裂とか、痛い!痛すぐる!!」