『わぁー、すごいね!すごいね!翔くん!』




何時だろうか君は僕をたくさん褒めてくれたね。




まだ幼い僕が成し遂げたほんの小さなことでも君は自分のことかのように喜んでくれた。




『かっこいいね、翔くん』




その言葉が聞けるのならば、僕はどんなに苦しくたって頑張れるんだ。










「今すぐに追いかけなさい」




美咲が設楽の屋敷を出たという知らせを聞いたのはさきほどの騒動のすぐ後だった。




使用人の一人が美咲が泣きながら全速力で屋敷から出るところを目撃したらしい。




そしてそれは今や瞬く間に屋敷中に広がった。




それを聞きつけた姉である、ひばり姉さんが今までないぐらい剣幕な顔で俺の部屋へと訪れた。





「聞こえませんでしたか?今すぐ、美咲さんを追いかけなさい」




「…嫌です、そもそも姉さんには関係ないことで…」