「君が、設楽が無条件で資金援助してくれるならそれでいいよ。けどね、それとこれじゃあ話が別なんだ」



「もし君が美咲を娶らないというのなら、僕たちはまた同じ条件で違う財閥の社長と取引をするかもしれないよ」





耳を疑った、この人たちは本気で美咲を花菱の駒としか考えていないのか?




二人の言葉に言葉を失った俺はただただ双子の言葉に耳を傾けることしかできなかった。





「翔くん、これはね君への最後のチャンスなんだ」




「もし君がここで僕たちの申し立てを断ってしまったら、きっと君は今度こそ美咲とは一緒にいることはできないだろう」




何を言ってるんだ、この人たちは。




俺は最初からそれが目的で美咲から離れたというのに、今更何を…




「君に一体何があって2年前のあれをわざと美咲に見せたのかは僕らは知らないが、美咲は確かに君から離れていった。でも、それは君の本意のだったのかい?」




本意も何も、それが一番よかったんだ。




美咲をあれ以上泣かせないためには俺から離れるのが一番の解決法だったんだ。




なのに、俺はその質問に答えることは出来なかった。





「それじゃあ、もう一度聞くよ。翔くん、君は花菱に資金援助をしてくれる条件で僕たちの妹、花菱美咲を娶ってくれるだろうか?」




「もし君が断ったら、美咲は確実にどこかわからない企業の次期社長とかに娶られてしまうかもだけど」





俺はぎゅっと拳を握った。