幼なじみ結婚







『周りが勝手に…』というのは彼らの皮肉なのか。




花菱は設楽と同じ複合企業で、様々な会社と契約をし、互いに技術の提供や情報提供、資金援助などで会社が成り立っている。




そして花菱と今も尚契約をしているとこといえば、美咲の親友である長筬聖美の父が経営している会社とわずかな中小企業だけだ。




他は全て、三年前、花菱の株が急降下した後に契約を切ったのだ。




花菱は殆どの企業に一瞬にして見放された。





「いやぁー、あの時は本当に驚いたよ。みーんな僕らのことさ蔑んだ目で見てきてさ、あれってさ新手のいじめだよね」




「ほんと、ほんと。だから僕たちもムカついちゃって、がーって問題を起こしたら今度は変人扱い。いやぁー、学校にいた時は本当に肩身が狭かったよ」




あははと口に出してはいるが、顔がまったく笑っていない。




彼らが今、いったいどんな気持ちでいるのか俺にはわからない。




わかっていいはずがないのだ。




窮地に立たされている花菱を見ないふりしている設楽も結局は他の奴らと同じだ。





「でもね、翔くん。だからって僕たちはこのままじゃ終われないんだよ」




「負けっぱなしは性に合わないからね」




双子は彼らの襟を掴んでいる俺の手を退け、ゆっくりと立ち上がって、胸を張って宣言した。