幼なじみ結婚







まさかとは思ったが、双子の表情は変わらなかった。




むしろ何が問題があるだろうかという顔で淡々と話を進めていた。




「…そうだよ、翔くん。僕たちは美咲を設楽家に嫁がせ、設楽と親族関係になったうえで資金援助を要求してるんだ」




信じられなかった。




あの二人が、あの双子が実の妹をそんな理由で他人に嫁がせることが。




そして何よりも許せなかった。




「…冗談じゃない…、あなたたちは美咲を利用するつもりですか?」




ぐっと拳を握りしめ、双子の顔を見下ろすと、二人は笑っていた。




「そうだよ、僕たちは美咲を花菱の駒にするんだよ」




「利用できる駒はあればあるだけでいい。そんなの常識だろう?」




その笑顔はいつものように何かを企んでいる悪戯っ子のような笑みではなく、こっちの世界でよく見る人を人だとも思わない汚い大人たちの薄気味悪い笑みだった。




駒…?美咲が…駒だっていうのかこの二人は!!




ついに怒りが爆発した俺は双子の襟を掴んだ。




「ふざけるなよ…、あんたたち、美咲をなんだと思ってるんだ!!」




例え実の兄たちだとしても自分の妹を、美咲をこんなことに使うなんて許されるはずがない。




こんなことで、こんなことで美咲の未来を奪っていいはずがないんだ。