今でもどこからか嗅ぎ付けてきた2年前の出来事をねちねちとわざと俺が聞こえるように影口を言うという嫌がらせも尽きない。
たぶん双子の中で俺は美咲と結婚させたくないやつ堂々の一位だと悲しいが俺は胸を張って言える。
なのに…この申し出はいったい…
「いやね、僕らだってそりゃあ翔くんなんかに美咲を奪われるのは嫌だよ。もう今でも殴りかかりたいぐらいほど嫌だけど」
「仕方ないんだよ、これしかもう打つ手がないんだから」
言ってることとやってることが真逆の双子。
結局、いったい何をしたいんだ?
それにどんなにお願いされても、俺はもう美咲とは関わらないと決めたんだ。
結婚なんてしたら、彼女は一生自分に縛られてしまう。
そんなことは絶対に駄目だ。
「あの、せっかくですが…」
お断りしますと言おうと瞬間、先ほどまで頭を地面に擦り付けていたバッと顔を上げた。
そこには今まで見たこともない二人の真剣な顔つきで、思わず言いかけた言葉を飲み込んだ。
「翔くん、これは僕たちの最初で最後のお願いだ。どうか妹を娶ってくれ」
「そして、どうか君の、設楽の力で崩壊寸前の花菱に助けの手を差し伸べてはくれないだろうか」

