「顔を上げてください。春さん、秋さん」
そう、土下座をしているのはあの双子だ。
花菱家最恐双子ブラザーズ、花菱春と花菱秋が目の前で…
まさかプライドがエベレスト級にに高いこの二人が、しかも自分に対しての土下座なんて滅多に見られるものじゃない。
今すぐ写真を撮りたい衝動に駆られたが、そんなことしたら後でなにかされそうなのでやっぱりやめた。
「いやぁー、まさか僕たちも土下座をするとは思わなかったよ」
「ねぇー吃驚したよねー」
土下座しながらお互いの顔を見合わせている双子は意味のわからないことを言っている。
彼らにとって自分は妹を泣かせた張本人で、逆に土下座をしてもらいたいくらい俺に怒ってるくせに何故?
そんな疑問を頭の中で巡らせていると、双子の片方、春がとんでもない発言をした。
「突然なんだけど、僕たちの最愛な妹、花菱家長女の花菱美咲と今すぐ籍を入れてほしい」
・・・・・・・・・は?
それは本当に突然すぎる話だった。
第一、俺と美咲の婚約を一番不愉快に思っていたのはこの双子だ。
いつもいつも人のことをからかっては陰でくすくす笑い、おまけに嫌みもつけてくる。

