しつこいぐらいにそう聞いてくる彼女に俺はつい苛立ってしまう。
「本当に!本当に、大丈夫だ…」
いつもと違う俺の様子を見て、何かを感じ取った彼女はもうそれ以上その話はしなかった。
「ソウ…。あっ、そういえばサッキ、あなたのフィアンセ…ミサキの声が聞こえマシタ。はっ!モシカシテわたしとカケルのさっきの様子を見てたンジャ…。イケマセン!!ミサキに先ほどのコト、説明シナケレバ!!きっとイマゴロ誤解しているはずデス!!」
いきなり慌て始めた彼女は美咲を追いかけようとするが、俺は彼女のスーツの裾を掴んで、それを止めた。
「いいんだ…」
「イケマセン!!アレは二ホンの女性にとってとてもタイセツナことだと、わたし聞きマシタ。ダカラ、誤解トク!!アタリマエです!!」
「キャシー!!!」
突然大声を出されて驚いたのが、キャシーはビクッとその場で止まった。
「…いいんだ、それでいいんだよ」
誤解なんて解かなくていい。
そんなことしても美咲を傷つけたことには変わりはないのだ。
「そうデスか…、ワカリマシタ」
キャシーはそう呟いたあと、チラチラとこちらを見てきたが、特に何も聞いてこなかった。

