・・・今更戻って何をするつもりなのだろう?




きっと今頃彼女はきっと双子の兄たちにでも泣きついているに違いない。そんなところに戻って、自分はいったい何をするつもりなのかわからない。




いつもこうだ。




美咲に会うたびに、会話するたびに、まともな言葉は出てこないくせに、言うつもりのなかった言葉を言ってしまう。




言ってはいけないことだと気づいたその時には、いつも目の前には今にも泣きそうな美咲がいる。




その度にどうしようもないくらい胸が痛くなる。




また泣かせてしまった、どうしよう、どうしたら泣き止んでくれるのだろう。




そんなことをいつも頭の中でぐるぐるとしてるうちに美咲はさっきみたいな作り笑いを浮かべ、俺の前から姿を消す。




そして、美咲のいなくなった空間に取り残される俺はいつも同じように後悔をする。






あんなことを言うつもりじゃなかった。




泣かせるつもりじゃなかった。







そんなことを思っていても、結局はまた同じことの繰り返しでまた美咲を傷つける、あんな作り笑いをさせてしまう。




いつも、いつも、いつもこんなはずじゃなかったと後悔する。




もう美咲を泣かせないためには自分が彼女から離れるしかないと考え始めたのもこの時期からだった。