「僕たちはてっきり」




「美咲に会いに行きたいから、おじさんについてきてるかと思った」





「なっ!ちっ…」




違うと否定をしようとしたが、振り向いた瞬間、まだつけてきていた美咲と目が合ってしまい、つい口を閉ざしてしまった。




いったい何の会話をしていたかわかっていない美咲は首を傾げた。




「まぁ、どっちでもいいけどねー。さぁー、美咲」




「こんな真面目野郎なんて放っておいて、お兄ちゃんたちと遊ぼうかー」




腹が立つような笑いをしながら、双子は未だに状況を理解をしていない美咲の腕を引き、この場から逃げるように離れていった。




図星だった。




正直にいうと、美咲の顔が見たくて父を言い訳にしてよくこの屋敷に訪れていたのだ。




昔は普通にただ会いたいからという理由で通っていたのだが、年を重ねるにつれ、だんだんと普通に会いに行けなくなっていた。




だからあの双子は苦手なのだ。




いつもいつも俺の思ってることを当て、くすくすと笑って…




でも、正直羨ましかった。




あの双子が苦手なのはきっと自分とまるっきり真逆でいつも自分に正直だからかもしれない。




いつからか自分にまで猫を被るようになった俺はただ会いたいという気持ちにも正直になれなかった。