そーっと入ると、翔くんは部屋の奥にある椅子に座っていた。




いつものように不機嫌オーラがビンビンと伝わってくる、そして今日はそれがいつにも増して酷い。




やっぱり昨日のことかなぁ…?




そろそろーと近づいていくにつれ、わたしは翔くんの異変に気付いた。




もちろん内面的な意味ではなく、外見的な意味で。




翔くんの額に大きな絆創膏が貼られているのだ。




あれっ?昨日あんなものあったけ?




「か、翔くん…その傷どうしたの…?」




翔くんの前にある机まで近づき、身を乗り出してその傷にそーっと触れようとしたら





「触るな!!」




大声で怒鳴られ、びくっとなったわたしはすぐに手を引っ込めた。




うぅっ…やっぱり嫌われてるな…わたし…




「ただ転んだだけだ、気にするほどでもない」




しゅんと肩を縮こませ顔を俯くわたしは不機嫌そうにそう言う翔くんの言葉にギュッと拳を握った。




転んだだけって…翔くん、あんなところに傷が出来るような転び方なんてするのかなぁ…?




ちらっと盗み見た翔くんの横顔はやっぱり不機嫌で、また気持ちがグラグラし始めた。