「美咲様」




頭の中でぐるぐるといらん事を考えていると、前の座席からわたしを呼ぶ声がした。




前も見ると、バックミラー越しに亀谷さんと視線がぶつかった。




いつになく真面目な顔つきでわたしは思わず姿勢を正した。




「は、はい…」




な、なんだろう…




「わたしはいつまでも、美咲様の味方です」




「えっ…?」




ドキドキしながら亀谷さんの言葉を待っていたわたしは思わず間の抜けた声を出してしまった。





「使用人にわたしがこんなことを言っても、何の励ましにもならないと思いますが。けどこの数か月の間、美咲様の送り迎えしただけのわたしでも美咲様が優しく、お強い方だとよくわかります」




「亀谷さん…」




「ですから…頑張ってください」




・・・・・・




わたしは本当に幸せ者だなぁ…




こんなにたくさんの人に心配されて、励まされて…




亀谷さんの言葉にじーんときたわたしは心の中で誓った。