「美咲、美咲!ここを開けて頂戴!美咲!!」




ドンドンとドアを叩く音が聞こえてくるが、わたしは無視した。




花菱の屋敷に返ってきた途端わたしは自分の部屋の扉に鍵をかけ、布団の中に閉じこもった。




廊下ですれ違った冬がわたしの異変に気づき、お母さんを呼びに行き、今に至る。




冬もお母さんもいきなりわたしが帰ってきたから驚いてるし、心配もしている。




ごめんね、ごめんなさい。




でも、今は一人になりたかった。




今度こそわたしの幼いころからの翔くんに対しての恋は終わりを迎えたのだ。




今まで騙し騙しで想い続けたが、ついに今日、拒まれたのだ。




わたしの想いがついに翔くんによって拒まれたのだ。




2年前とは今度こそ違う。




あれはわたしが一方的に逃げただけ。




そして今は…




あんな大声を出す翔くん、初めて見た。




きっとずっと迷惑だと思ってんだろうな、わたしの想いも、わたしとの関係も。