もう嫌だ。嫌だ。
こんな悲しいのに、辛いのに、翔くんを好きでいるわたしにはもう耐えられない。
諦めたいよ、諦められるなら、もっと早く諦めたかった。
なのに、どうしてわたしは未だに翔くんがこんなにも好きでいるのだろう。
目の前で大泣きをするわたしに対し翔くんは歯をぎりっと噛みしめた。
「だから、嫌だったんだ…」
声を振り絞るように翔くんは呟いた。
聞きたくない、聞きたくない、聞きたくない。
その言葉を聞いてしまったら、本当に終わってしまう。
「だから、お前を娶るなんて嫌だって言ったんだ!!!」
翔くんの声は廊下の遥か先まで響いた。
「いつも、いつも、いつも、いつも!!思い通りにならない!!全部…全部…!!」
大声でそう訴える翔くんを見て、わたしは心の中で落胆した。
あぁ、本当にこれで終わってしまった。
わたしと彼の間のあった曖昧だけど確かな線が今、ここで切れた気がした。

