うぅっ…やっぱり怒ってる…
そりゃあ、そうだもんね。せっかく慰めにきてくれたのに、あんなこと言っちゃったら…
ひばりさんはしないと思うが、罵倒を受ける覚悟をしていると、意外な言葉が聞こえてきた。
「わたくしは別にあなたを慰めにきたわけではありませんよ」
「ふ…え?」
わたしの顔をつねりながら、ひばりさんは話を続けた。
「確かにあなたのことも心配ですが、でもわたくしはやっぱり翔さんの姉なんです。あなたの兄たちがあなたを溺愛しているように、わたくしも翔さんが可愛くて可愛くてたまらなくて、だから翔さんのことが何よりも心配なんです」
少し苦笑しながら『姉バカですね、本当に』と言うものの、ひばりさんの表情は和らげなものだった。
「美咲さん、あなたは自他共に認めるお馬鹿さんです」
うっ!!
なんでいきなりグサッて胸に突き刺さるようなこと言うの。
「でもわたくしはそんなお馬鹿さんなあなたがとっても微笑ましいのです。他人が認めるお馬鹿さんというのはまっすぐで素直で、とってもお人好しでそして誰からも好かれていなきゃ許されないんですよ」
えっと…つまりひばりさんはわたしが何の悩みもなく、馬鹿正直で、お節介の愛すべき馬鹿野郎と…罵倒しているのですか…?

