わたしが茫然と話を聞いていると、ひばりさんのため息が聞こえてきた。
「まぁ、それがきっかけとは言いませんけど、とりあえず見栄っ張りとか頑固さが酷くなって天邪鬼?にでもなったんでしょうかね?本当に大切なものを簡単に諦めてしまうという素晴らしく阿呆な癖をつけてしまったんですよ」
なんか話を聞いているうちにだんだん愚痴っぽくなっているような気がする…、気のせいだろうか?
まぁ、気のせいにしておこう…
「しかもその頑固たる天邪鬼さゆえに好きな子に酷いことばかり言うわ、するわ、泣かすわで本当によくもまぁ、嫌われずにすんでますよね」
「はい?」
あまりに小さな声でボソボソ言ってたため、聞き取れずにいたら、ひばりさんがにっこりと笑って『いえ、何も』。
何故かその笑顔に背筋が冷たくなったのは、わたしだけでしょうか?
「とりあえず、諦め癖がついているあの子はもうどうしようもありません。だから熊のぬいぐるみがあの子を諦めなければいいんです」
「は?」
あまりに突拍子もない話に飛んでしまっている気がするけど…
今、なんて?
「く、熊のぬいぐるみがなんて?」
「だから、もし熊のぬいぐるみがあの子を諦めず、どんなに拒まれていても、ずーっと傍にいてあげたら、あの子もきっと諦めることを諦めると思うんです」
うん…なんか、いいこと言ってると思うけど…うん、イマイチよくわからないのが惜しい。

