桂さんはわたしの視線に気付いたのか、にっこりと微笑んできてくれた
い、いい人だよ…いい人だよ、桂さん!
あいつとは比べものにならないくらい優しいよ、桂さん!!
あの男なんて2年ぶりのわたしの顔を見て、何も反応しなかったのよ
信じられる?ちょっとは2年前の罪悪感で申し訳なさそうな顔をすると思ったのにまさかのスルーよ!!
本当に信じられない!!
そんなやつがわたしの夫ですか!!わたしはあいつの妻ですか!
はっ、笑っちゃう話ですよね?
「奥様、ここで暫しお待ちを」
頭の中で悶々とあいつの悪口を思っていると、桂さんが突然ストップと声をかけてきたので、止まると目の前にはそりゃあまぁ立派な扉がありました
すっごく幅が大きな扉を桂さんが小さな体で押してるのを見て、わたしは心の中で頑張れと応援した
そういえば、ずっと歩かされてたけど・・・わたしはどこに連れてこられたのかな?
さすがに初っ端からあいつのとこなんて連れてこられるわけないよねー
はははははは
「奥様、翔様がお待ちです」
部屋の中から桂さんの声がして、わたしは思わずずっこけた

