「それにしても美咲とこんな風に夜中までお喋りするのって何時ぶりだろうね?確か、美咲の誕生日が最後だったけ」
「うん、そうだね。わたしが設楽の家に嫁いだ時」
あの時も聖美にはこんな風に愚痴を聞いてもらってたな…
翔くんと結婚なんて絶対嫌だ!!って威勢よく言ってたっけ。
「懐かしいな…」
あの頃はまだよかったなぁ。嫌だ嫌だと駄々をこねていても、こんな風に胸が締め付けられることもなければ、悲しいとも思っていなかった。
ただただ翔くんや馬鹿兄たちの怒りがあっただけかな…
わたしがまたそんな風に悲観的になっていると、聖美がわたしの手を取った。
「じゃあ、美咲。教えてくれる?いったい何があったのか、なんで美咲がそんなに悩んでいるのか、わたしに教えてくれる?」
まっすぐな目で見つめられ、胸がきゅっと熱くなり、わたしは自分の心の内をすべてさらけだした。
翔くんの帰りがこのごろ遅いこと
最近、2年前のあの日の夢をよく見ること
そして、わたしに付き纏う黒い渦のことも

