「なにかってなんですか?」
「いえ、なにか無理に明るく振る舞ってるような気がして…」
す、鋭い…
さすがに毎日、わたしを送り迎えしてるだけあって、わたしの変化に敏感だ。
だけど、心配されたくなのでわたしはいつも通り笑顔を装った。
「本当になんでもありませんよ、今日テレビの星座占いがよかったものだからつい舞い上がちゃって…」
「そうですか…」
それでも納得いかないような亀谷さんをどうにか渋々帰らせた後、わたしは重い足取りで校舎に入っていた。
大丈夫、いつも通り。
いつも通り、笑顔で何も考えないでいればきっともうあんな思いすることなんてないのだ。
2年前の悲しくて、つらくて、どうしようもない気持ちになんてなるはずなんてないのだから。
そう心の中で自分に言い聞かせても、やっぱり心のどこかがチクリチクリと疼いた気がした。

