うぉぉぉとか、うへぇぇとか奇声を上げていると、後ろからちょんちょんと肩を叩かれた




振り向くと昔懐かしい人が笑顔でそこに立っていた





「桂さん!」




「お久しぶりです、美咲お嬢・・・ではなく奥様」




「久しぶり。桂さん、ちょっと若返った?」




主に頭が




桂さんとは設楽家の使用人の筆頭であり、昔わたしもよくお世話になった初老のお爺さんである




すっごく優しくて、すっごくいいお爺さんなの




わたしも昔、お爺ちゃんなんて呼んでいたっけ・・・




昔懐かしい記憶が甦り、一人でぼぉーっとしていたら桂さんに名前を呼ばれたのですぐに我に返った





「それでは奥様、お荷物を」




「えっ・・・あっ・・・よ、よろしくお願いします」




昨日のうちに自分の荷物は既に設楽のお屋敷に送ってしまい、大荷物といえる荷物はなく、手に持っている財布と携帯しか入っていない小さなバックをわたしは桂さんに渡した





こんなものぐらい自分で持てるんだけど…いやいや、お言葉に甘えさせていかなければ




桂さんのほうをチラッと見ると、昔変わらぬ笑顔でわたしの隣を歩いている