わたしは見つからないように息を殺しながらその人だかりが部屋を通り過ぎるのを見て、そーっと扉を閉めた。




特に変わった様子はないなぁ…




帰ってくるのが遅くなった理由を知りたいが、そんなの知ってどうする?みたいな返事されたら答えられる自信ないし。




それに別に翔くんが遅くなろうが、わたしにはどーでもいいことだもの。




そう割り切り、布団の中に潜ったが、やっぱり落ち着かない。




まさか、まさかと…思うけど…




頭の中でそんなことないだろうという予想がちらちらとわたしを揺さぶってくる。




まさか、翔くん…女の人と会ってるんじゃ…




………………




うわっーーーー!!!!なに、わたしちょっと泣きそうになってるんだよ!!




翔くんとわたしは確かに夫婦だけど、婚姻届に名前書いたけど!!




でもわたしは別に翔くんに特別な感情を持ってるわけではなく、兄さんたちが倒産寸前の花菱を救うための駒として設楽に嫁いできたわけで!!




翔くんがどこのどの女とどんな関係になってもどーでもいいわけで…わけで…




別にわたしには…には…




やばい、泣きそうだ。