本当はずっと前から知っていたのかもしれない




あなたがわたしを見てないことくらい



隣で必死に話しかけても決して笑ってはくれない横顔。



頑張ってお洒落をしてもあなたの瞳にわたしが写ることはなかった。




だから、きっともっと早くこの不毛な恋を終わらせるきっかけが欲しかったのかもしれない。




それでもやっぱりあなたが忘れられないわたしはきっと馬鹿で阿呆でどうしようもないのだ。









カチッカチッカチッ





時刻は既に夜中の1時、昼間慌しい屋敷は小さな置時計の針の音が聞き取れるほど静かで穏やかな夜。



だけど、わたしはまだまだ全然穏やかではなかった。




カチッカチッカチッカチ




……最高記録更新…




「はぁっ…」




最近よくつくようになったため息をつき、わたしはギュッと時計を抱きしめ、ベットの上に寝そべった。




翔くん…帰ってくるの遅いなぁ…