「熱は下がった」
「嘘!?さっき咳したじゃない!!」
「お前がずっとこっちを見てくるからだろうか!!」
声を張り上げて叫ぶ元気があるということは少なからず昨日よりは体調はいいってことね。
でも、一晩で熱が引いたとは思えない。
「ちなみに今朝、体温を測ってみた35度5分。熱は下がった」
わたしを心を読んだのか、翔くんがそう言った。
「そ、そっか…」
とりあえずよかったとほっと胸を撫で下ろすと、今度は逆にわたしが見られている視線を感じた。
顔を上げると、翔くんがじーっとわたしの顔を凝視してきてる。
えっ…なっ、なに…
見られてることにあまり慣れていないわたしは思わずその視線から逃れるべく顔を伏せた。

