あるわけないよねぇー、ですよねー




うちなんてふっ…兄たちが妹を騙して無理やり婚姻届にサインさせるというまさに外道なんだから、そんなドラマ的なこと起こりませんよねー





「ふふふふふ」





一人を迎えにくるためだけには大きすぎるベンツの中、わたしは一人可笑しく笑っていた





住宅街をぬけ、どこかの森林の一歩手前で車が止まり、ドアが開いた





「奥様、本邸にお着きしました」





「あ、ありがと・・・?」




奥様なんていわれ慣れていないわたしは笑顔を引きつらせながら車から出ると、そこには見たこともない豪邸が目の前にあった





「で…っかーーーー」




元名家である花菱も一般家庭の二階建てよりは少しばかり大きいお屋敷だが、ここはもうその花菱のお屋敷とは比べものにならないくらい大きい




しかも目がチカチカするほど綺麗だし、お庭だって広い




わ、わたしが来ない間に設楽も成長したのね・・・




つい2年前まで出入りしていた屋敷だとは思えないほどここは広くなっていた