やっと静かになり、口を開こうとしたその瞬間、桂さんのお礼の言葉で遮られてた。




「ありがとうございます、美咲様」




そう言って、深々と頭を下げる桂さんにわたしは慌てて首を横に振った。




「そ、そんな大したことじゃないですよ!!わたし、ただ怒ってただけだし…」




「いいえ、あの翔様に対しあんな風にお怒りするのはやはり美咲様だけです。美咲様が設楽に嫁いできたことをわたしは改めて喜ばしいことだと思います」




「お、大げさですよ。桂さん!!」




わたしはただ兄さんたちの駒でこの設楽に嫁いできただけ、だからそんなに感謝されても困る。




それに…




「それにこれ!すっごく大切なものなのに、わたし、もしかしたら投げた勢いで壊しちゃったかもしれません!!ご、ごめんなさい!!」




ずっと抱えていたパソコンを桂さんの前に取り出し、今度はわたしが頭を下げた。




絶対に怒られるし、呆れられる。




さっきの褒め言葉を返せって言われるかもしれない!!




そんな不安が胸を過ぎったが、返ってきた返事は呆気ないものだった。





「はい、それでいいんです」