高校を卒業して、仕事に専念することはわかっていたけどちょっと頑張りすぎじゃない?
翔くんは昔からそうだったもん。
昔から誰よりも高い位置にいたけど、誰よりも頑張って、誰よりも努力していたから。
努力する翔くんは好きだよ、でも本当はね少し心配なんだ。
昔からいつ倒れるかすっごく不安で仕方なかった、わたしに出来ることはいち早く翔くんの病状に気付き、いち早く休ませることだけ。
それだけしか出来ないから…
「お願いだから、自分の体は大切にして…」
翔くんに聞こえてるか聞こえてないかくらい小さな声でそう呟き、最後の一口を流し込んだ。
お水の入ったコップと専属の薬剤師に調合してもらった特製風邪薬をしっかりと翔くんに持たせた。
「みんな、心配してるんだよ。だから、早くよくなって。そしたら、誰も翔くんが何をしてても気にとめないから、病気のときくらい心配させて」
真っ直ぐと翔くんの目を見ながらそう言うと、翔くんはぎゅっと唇を噛み締め、薬を口の中に含み、水で流し込んだ。
コップを受け取ったわたしはすぐさま翔くんをベットに寝かしつけ、布団を上にかけた。
「暫く、安静にしてたら治るから。それまで絶対に仕事出来ないように、わたしがパソコンを所持します。あと、桂さんに取り戻すように命令しても駄目ね。桂さんはわたしの使用人だから」
笑顔でそう言うわたしを見て何を思ったのか、翔くんの口元が軽く引きつった。

