よしっ…




小さな1人分お鍋を載せたお盆を持ち、わたしは翔くんの寝室の目の前でふーっと息を吐いた。




後ろの使用人たちはそんなわたしをハラハラソワソワと見守っている。




意を決してわたしは扉をノックした。




「み、美咲だけど、翔くん、中入っていい?」




震えるのを一心に抑えながら聞くと、暫く長い沈黙があったが、翔くんの声が中から聞こえてきた。




「入れ」



よしっ!!



心の中でガッツポーズをして、後ろで心配そうにわたしを見守っている使用人たちに笑顔でピースをした。




「いってきます」




出来るだけ翔くんに聞こえないように声を抑えそう言い、わたしは部屋の中に入った。




緊張しながら部屋の中に入る、これが初めてのお部屋訪問ではないが、前はテレビに夢中で全然気にしてなかったからな…




そんなことを思い出しながら、わたしは翔くんに視線を向けた。