いやいやいや、そんな全然、全然そんなこと気にしなくていいんですよ!!




むしろわたし、なんかちょっと嬉しいの。




主が熱で倒れて、使用人たちが数少ないお休みを投げ出してまで戻ってきて一生懸命看病している。つまりは翔くんがそれに値する存在だということ。




たくさんの人に慕われて、たくさんの人に支えられている。




世の中には人々の上に立つ者は孤高でなければいけないと呟く人もいるだろう。威厳、絶対的権力、もちろんすっごく大切だと思うけれどわたしはみんなに支えられ、誰かに背中を押されるたびに成長していくような人がいい。




翔くんがそうやってたくさんの人に慕われてて、わたしは本当に本当に嬉しく思うの。









「あの…桂さん…」




未だに頭を下げている桂さんにオズオズと話しかけた。




「わ、わたしもか、翔くんの看病…って出来ますか?」




両手をもじもじと動かし、恥じらいながらそう聞くと、桂さんがいきなりガバッと顔上げ、満面の笑みを浮かべ




「はい」




と答えた。