わたしの気のせいじゃなかったら、使用人は桂さんと料理長、初老のメイドおばぁちゃんの蓮菊さん、それと亀谷さん。
それ以外の人はこの屋敷では見なかったはず…なのに、なんで?
ま、まさかわたし、霊力とか目覚めちゃって、今見えてる人は全員幽霊!?
「美咲様!!」
いきなり名前を呼ばれビクッと体を震わせ、恐る恐る振り返ると、白くなった眉毛を下げ、珍しく困っている桂さんがいた。
「あ、あの…これはいったい…?」
「これには深い理由がありまして…」
視線を落としながら声を低くしてそう言った桂さんの手元を見ると、水で満たされたコップと薬を2錠載せたお盆があり、わたしはますます首を傾がせた。
「か、翔くんが熱で倒れたぁぁ!?」
吃驚しすぎて思わず大声を出してしまったわたしは急いで口を両手で塞いだ。
って、本当に!?

