でも…
「だからってわたしを無理やり連れ出す理由にはなっていませんよ」
翔くんと巧の叔父さんが仲悪いこととわたしに何の関係が?
不満たっぷりでそう言うと、桂さんは微笑んだ。
「まぁ、一つだけ言えるのは。翔様もまだまだ子供ということです」
…翔くんが子供?
うーん、そうなのかなぁ…?
首を傾げながらいろいろ考えてみたが、桂さんのある一言で全て吹っ飛んで行った。
「お詫びに今日は美咲様のお好きなお菓子を作って差し上げましょう。何がよろしいですか?」
「えっ!?じゃっ、じゃあ…」
お菓子というキーワードに一瞬にして食らいついたわたしはもう頭の中からさっきのことはすっからかんに忘れてしまっていた。
どうすることも出来ない恐怖は自分ではどうしようもなく
今度こそ、今度こそと思っていてもやっぱり君のことを思い出す
きっと僕は何度も何度も君に救われるのだろう
あの優しいぬくもりに何度でも

