翔くんのお父さん…




つまり、設楽財閥の現社長…設楽巧。




わたしは直接話した事はないけど、兄さんたちから聞く話によると中々笑ってくれず怖いけど、面白い叔父さんだって…









「それがどうしたんですか?」




首を傾げると、桂さんはうーんと悩んだように同じく首を傾げた。




「ここだけの話ですが、翔様は実の父である旦那様とあまり仲がおよろしくないんです」




「えっ!?」




それは初耳。




だって幼い頃から翔くんは巧の叔父さんに憧れてて、巧の叔父さんもすっごく翔くんに期待してたイメージがあったもん。




でも…そういえば…




よくよく思い出して見ると、昔も今日みたいにある日突然翔くんが現れて、わたしを連れ出すことって結構あったかもしれない。




そんときは今日よりも酷くて顔を真っ青にして全身震えてて、今にも泣き出しそうな顔でいた気がする。




で、不思議なことに翔くんに連行された次の日には必ず巧の叔父さんがいつも花菱のお屋敷にいた記憶があった。