「桂さん、桂さん。話して下さいな、わたしをここまで無理やり連れてきたくせに理由を言わないなんて卑怯だと思いませんか?きっと今頃、学校ではわたしの悪い噂で持ちきりだと思いますし、このままじゃわたし納得できないし、それに夫である翔くんになにか隠し事されるのは悲しいことです」
半分本当のことを交え、わたしは瞳を涙で濡らしながら必死に桂さんに訴えかけた。
もちろん、涙は嘘。
幼い頃から兄さんたちに虐められるたびに嘘泣きをしてよく困らせていたから、嘘泣きは得意中の得意。
きっと今頃良心にグサグサと何かが突き刺さってるだろう桂さんは本当に困ったようにうぬぬっと唸った。
それを見ているわたしの良心にもグサッと何かが刺さったが、でも何も知らないのは嫌だし、何も知らないまま学校で愚痴られるのも嫌だ。
桂さんごめんなさい!!
心の中で桂さんに謝りながらも、桂さんならきっと折れてくれると期待している酷い自分もいた。
「…実は…ですね」
思ってる通り、桂さんが折れてくれた。
パァッと明るくなったわたしの表情を見て、桂さんは安心したように話を続けた。
「実は、先日翔様の父…つまり旦那様が日本に帰ってこられたと連絡が来まして…」

