「が、頑張ってね!!」
いったい何に対して怯えてたのかわからないけれど、あの翔くんが震えるほどなのだから、きっとすっごくすっごく大きな存在なのだろう。
翔くんはこっちに振り向かず、ビルの中に入ってしまったけれど、さっきにわたしの精一杯の応援はきっと届いたと思う。
背中が見えなくなるまでじーっと翔くんの後姿を見つめていると、車が突然動き出した。
「わっ!」
バランスを崩してしまったわたしはつい前のめりになってしまい、顔を上げると、バックミラー越しで桂さんがニコニコと笑ってることに気付いた。
はっ!
そういえば、さっき桂さんもこの車の中にいたんだよね…?
顔が一気に熱くなるのを感じた。
わ、わわわわわたしはなんてことを…!!!
はわはわと顔を両手で押さえていると、桂さんの優しい声が聞こえてきた。
「やっぱり美咲様は昔からちっとも変わっていませんね」
「へっ…?」

