輝は不思議そうに首を傾げたが、まぁいいやと軽く流してくれた。
「で?美咲はこんなとこで座り込んで、何やってるの?」
「うっ…ちょっと落し物をしちゃって…」
「何を?」
「……」
翔くんから貰った結婚指輪が入った箱を失くしましたー、なんて言えない。指輪はめろっていわれたけど、設楽に嫁いだことを公表するなんてまだ言われてないし…
ど、どうやってうまーい具合に指輪ってばれないようにそれらしいものを落としたのかって伝えるか。
「もしかして、これ?」
ずっと黙りこくってるわたしの後ろで輝は制服の上着の胸ポケットからあるものを出して、わたしの前に出した。
吃驚しすぎて、目が飛び出そうなほど見開いた。
輝が差し出してきたそれは確かにわたしがさっきからずっと探し回っていたものだった。
「こ、これ…どこで!?」
「うーんっ、教室?なんか隅っこらへんに落ちてた」
その言葉でハッとした。
そういえばわたし、いろんなとこ探し回ってたけど、教室だけは見てない!!
盲点だった!!

