「あなたが私を見てたの、わかってたんだ。始めは、特に気にしてなかったんだけどね。でも、もしかしたら仲良くなってもいいかな、って、そう思い始めた。それであなたに言ったの。おはよう、って。」
 少女はそう言ってミルクティーの缶を傾けた。僕はそれを横目で見ながら、「僕は応えてあげられなかったけどね」と、ばつ悪げに笑った。
「ううん、あなたは応えてくれたじゃない。こう、やって。」
 少女は、わざとだらしなく右手をあげて、「あの朝」の僕のまねをして見せた。そして笑った。僕も苦笑した。