追憶メランコリー




「隼人、は」


「うん?」



口ごもる私を急かそうとはせずに、数拍置いたのちに、正確に私の胸中を汲み取った隼人はそうだな…とつぶやいた。

元来口下手で口数の少ない私のことを理解出来る人間は少ない。
それは決して家族も例外ではない。
だが、さすがに何年も顔を突き合わせていれば、何となく表情で何を考えているのかは何となく分かるらしい。
以前実家に帰った時、玄関に置かれた豚の置物を眺めていると、後から入ってきた父に、それは食えないぞと指摘されたのには驚いた。
確かに美味しそうだとは思っていたが、そんなにも物欲しげな顔をしていたんだろうか。

まぁとにもかくにも、言葉にせずとも、こうして相手が理解してくれるのは嬉しい。
どこかくすぐったくも感じる。



「―――まだ言わね」


「何で、」


「んー、何でも」



ほら早く考えろよ。

確かに私たちは世間一般でいう、恋人なんだけれども、その前提には絶対的な理解者である隼人がいる。