ちらって彼を見たら、やっぱりいつもと同じ黒いキャップを目深に被って、 『あんまり見るなよっ...』って口をむぐって動かした。 私は彼を見れただけで、ふわふわぴんくがわーーってなって、『来たよ。来たよ。』って私の心で踊り出す。 もう一回だけ勇気を出して、彼をちらって見たら、 キャップのつばがこっちをみてて『どうしよう!』って私の心がびくんて跳ねた。 そしたらね、 ――――――ゴホンッ って彼が咳をした。