「トオヤとミズキ戻ってこないわね・・・」


私は孤児院の外門からミズキとトオヤの姿を探す。


ミズキはカインだ。


私と紫貴はそれを知っているけど、ミズキの真意と能力を見定めるためにまだそのことは誰にも明かしてはいない。


でも、もしかしたら、ミズキはカインに戻り、カナンの永遠の命を奪おうとするかもしれない。


ふと、孤児院の裏門を見ると、カナンが外に出て行くのが見えた。


「カナン!今一人で外に出ちゃだめよ!」


私は必死でカナンの後ろ姿を追いかける。


カナンの隣に、男の子の後姿が見えた。


「ミズキ?」


茶に透けるサラサラの髪に、細身の体格、カナンとの身長の差。


それは全てミズキのものと同じだった。


ミズキ、帰って来ていたのね。


私は少しほっとし、走る速度を緩める。


でも、何か・・・ミズキの後姿に感じる違和感。