「いずみお姉ちゃん、今日なんかぼーっとしてるよ。どうしたの?」


カナンが不思議そうに私の顔を見つめる。


紫貴のことを考えていた私は慌てて笑顔を作った。


「なんでもないのよ。ちょっと考え事してただけ。カナン、トオヤとミズキは?」


「うん、ミズキがさっきから見当たらなくて。トオヤが探しに行ったみたい」


ミズキが見当たらない?


もう夕方の6時を回っている。


辺りは薄暗くなり始めていた。


何か嫌な予感がする。


「カナン、ちょっと外を見てくるからここにいてね」


不安げに私を見つめるカナンを振り返る。


「カナン、今日の夕食はあなたの好きなハンバーグよ!」


瞳を大きく見開いたカナンが嬉しそうに答える。


「やった~!いずみお姉ちゃん大好き!」