これほど客の少ない「天使の泉」を今まで存続させることができたのは、他の誰でもない、香織の力が大きい。


香織は優れた秘書であり、経営者であり、医者だった。


この占いの館を建てたのも、経営しているのも香織なのだ。


「天使の泉」も私も、ただここに存在しているだけでよかった。


存在だけが唯一の目的なのだ。


ここは、前世、そのまた前世から、天使の安らぎの場所でなければならなかった。


私はこの場所を護り、ガードの天使たちを見護り鼓舞するために、ここにいるのだ。


前世、そのまた前世から・・・。


「どうぞ」


天使の微笑みを持つ少女、美織が入ってくる。


天使・・・・。


私は闇のように黒いブラックコーヒーを見つめながら、私が唯一愛した人、紫貴・・・・あなたを思い出していた。