美織が去ったあとの占いの部屋の中で、私はコーヒーをカップに注ぐとゆっくりとそれを飲み干した。
そして胸に光る三日月のペンダントを手に取り見つめる。
あの日、炎の中に消えた紫貴は、二度と私の前に現れることはなかった。
紫貴が月へ還ったかどうかは、誰も知らない。
ただ、このペンダントだけが私に教えてくれていた。
紫貴が肌身離さずいつもつけていたこの三日月のペンダント。
あの炎に包まれた日も。
炎とともに消えたはずのペンダントが、今私の手の中にある。
これを見つけたのは、私が生まれ変わり、香織が天使の泉を占いの館として建て直したあとだった。
4歳だった私は占いの館の前に落ちていたこのペンダントを見つけた。
「紫貴、ここにいるの?」
思わずつぶやいた私に、春の風が優しく私の頬を撫でるように吹き付ける。
「紫貴、ごめんね。私、あなたへの想いをずーっと心の奥深くに封印したの。使命を全うするために」
まだ少し冷たいその風に、紫貴のひんやりと冷たい手を思い出した。
「私、新しい運命を生きるわ」
私は決意の瞳で空を見上げる。
「でも紫貴、私が運命を全うしたら、その時は・・・愛してくれる?」
その瞬間、頬を撫でた風が青い空へと飛んでいくのが見えた気がした。
そして胸に光る三日月のペンダントを手に取り見つめる。
あの日、炎の中に消えた紫貴は、二度と私の前に現れることはなかった。
紫貴が月へ還ったかどうかは、誰も知らない。
ただ、このペンダントだけが私に教えてくれていた。
紫貴が肌身離さずいつもつけていたこの三日月のペンダント。
あの炎に包まれた日も。
炎とともに消えたはずのペンダントが、今私の手の中にある。
これを見つけたのは、私が生まれ変わり、香織が天使の泉を占いの館として建て直したあとだった。
4歳だった私は占いの館の前に落ちていたこのペンダントを見つけた。
「紫貴、ここにいるの?」
思わずつぶやいた私に、春の風が優しく私の頬を撫でるように吹き付ける。
「紫貴、ごめんね。私、あなたへの想いをずーっと心の奥深くに封印したの。使命を全うするために」
まだ少し冷たいその風に、紫貴のひんやりと冷たい手を思い出した。
「私、新しい運命を生きるわ」
私は決意の瞳で空を見上げる。
「でも紫貴、私が運命を全うしたら、その時は・・・愛してくれる?」
その瞬間、頬を撫でた風が青い空へと飛んでいくのが見えた気がした。


