もう一人

死を恐れるか失敗を恐れるか。
俺は当然死を恐れる。
本能。
人間としての本能が俺をそうさせるのだ。
延命に対する執念。
それは人間なら誰もが持ち合わせている。
命の重さを知る事は人として大切な事。
だがそれが故に人は延命にこだわるのだ。
死を恐れ、他人が生死の狭間にいる時に手を伸べる事が出来ない。
それは命の重さを知っているからこそなのだ。
己の命を失うリスクを背負いたくない。
だから利益もなしに人の為の危険などおかせられない。
人は誰しもいつかは死ぬ。
これは揺るがない事実だ。
だが勿論それは他人の命に対しても同じ事が言える。
一ヶ月の猶予。
それは延命のチャンスとしてはあまりにも少ない猶予だった。
だからこそ行動に迷いはあってはならない。
俺は行動的になる。
動く事を拒めば命はない。
一ヶ月という猶予をいかにして活用するか。
俺の目指す目標はいたってシンプルで動機も歪んではいない。
延命…。
それが俺の目標であり行動の動機だ。