もう一人

馬鹿を利用するならまず、馬鹿の目線で物事を見なくてはならない。
俺がもしアイツの立場ならどうするか。
または俺の行動をどう思うか。
奴がどう出るか。
それは俺が奴の立場だったらどう出るかという事。
ただ、やはり人によって知識の方向性や発想力、考え方等は異なる。
だから同じ状況における複数の人間の行動も一致する事は少ない。
とはいっても「その状況に応じた場合の自分の行動」に対する「対策」を練るのはやはり立派な防御と言える。
これはほんの一時的な防御だが、この戦いを制すれば、生きる為の手段を得られる。
俺の人生で最大の戦いの為の防御を作れるのだ。
あの馬鹿はどう出るか。
あの馬鹿は蜘蛛の巣にかかるのだろうか。
俺は生きる為に奴の行動には目を光らせる。
勿論、警察の関係者に目をつけられる不安もある。
怪しい行動は絶対に出来ない。
ごく自然に振る舞う必要がある。
そして尚且つあの馬鹿を道具に出来るように振る舞う必要もある。
ハードルはかなり高いが今更退く訳にもいかない。
あの馬鹿は俺の知り合いの中で最も良いカモだ。
だからアイツが道具になったらとことん利用する。
勿論俺だってやりたくてやってるわけではない。
生きたい。
ただ…生きたい。
純粋な動機が不純な行動を起こした。