神主の目は真剣そのものだ。
それでも僕は何を信じるべきかわからなかった。
「殺すか生かすか……
ゆっくり考える事にします。」
僕はそう言うと神主に別れを告げて神社を後にした。
帰りの電車の中…もう一人を探してみるもののやはり周囲には常識的な出来事しか起こっていない。
退屈だ。
もう一人は今どこにいるのだろう。
やはりこんな色の無い世界の中に僕が存在しているのなら僕は死んでも良いかもしれない。
唯一の理解者を殺めて寿命を伸ばせば理解者等いないのだから。
しかしだからといって簡単に死を選ぶ訳にもいかない。
僕はかつて約束をしたのだ。
中学生の頃全く僕の事を理解出来ないくせに一生懸命理解しようとした奴がいる。
高校に進学するときに別れる事にはなったがそいつと僕は卒業の直後にタイムカプセルを埋めた。

二十歳になったらタイムカプセルを掘り出す。
そんな約束をしていた。
奴は僕の事等微塵にも理解出来なかったがいつも僕の側にいた。
いつも僕と共に笑った。
かろうじて信用は出来る奴だった。
あいつを裏切るのは気が進まない。
僕は命の選択にまだ迷いがあった。