ちなみにサブアドというのは自分のプライバシーが保護されたアドレスであり、携帯のメールアドレスの予備のような物である。
このサブアドでトラブルが起きても携帯の中心となる方のメアドを消さずにサブアドだけ消せば問題がない。
それ程それは優れた物だ。
ちなみにメールアドレスという物は人の心理や感情が反映されるという。
俺はメアドで内面を把握されたくないからメアドは数字をランダムに並べている。
逆にサブアドは自分と違うキャラを装う為にあえて法則性のあるメアドにしている。
俺が五十嵐に送ったサブアドは自分の名前の一部をもじったメアド。
なんでも自己主張の強い人間の大半がこの類いのメアドにする傾向が見られるらしい。
これなら隠し事をしていても認識されにくいだろう。
オープンなキャラを演じつつ自分の本当の姿を隠し続ければ問題も生じにくい。
「じゃあさっそく俺のとこにメール送って！」
俺は今度は極めて自然に話せた。
これなら怪しまれないだろう。
「りょーうかいっ！」
五十嵐は何かを打ち込んでいる。
俺を焦らせる為の時間稼ぎだろうか。
空メールで良いものを…。
もしかしたらこいつは俺に裏がある前提で行動してるかもしれない。
メールが来た。
内容はなくデコレ画像が貼ってあるだけだ。
デフォルメされた猫に吹き出しが付いていて「よろしく☆」と書いてある。
何がしたいんだこいつは。
俺は次に五十嵐のメアドを見た。
五十嵐のメアドはゲームのタイトルの略称を複数並べた物だった。