「奏、今日、何作るって?」

七瀬家にあがり込んで来ながら、タクトが言った。

「親父が帰ってくるまでに、何か作っとこうと思って」

キッチンから、奏ちゃんが答える。

そこのテーブルに、奏ちゃんの姿を眺めながら、あたしは座っている。

ちぇっ。

せっかく独りで、奏ちゃんの『料理する姿』を堪能してたのに。

振り返る。

同じく、嫌そうな顔で、タクトがあたしを見てる。