奏ちゃんの目が、じっとりとあたしを捕らえる。

「それ、ホメてないだろ」

複雑そうな表情。

「見た目でホメるところのないヒトに向かって言うんだ『優しそう』って」

「そう、なの?

でも、あたし的にはめちゃくちゃホメてるんだけど。

奏ちゃんって、本気で怒ってるところを見たことがないくらい温和で。

困ってると、真っ先に、さりげなく、助けてくれる。

そういうすっごい優しいところがあって」

あたしは、口をつぐむ。

だから、好きなんだ。

でも、それが誰に対してもだってとこだけがくやしい。

誰か限定で優しいだけじゃ、ホンモノじゃないってことはわかってるけど。