出ると、奏ちゃんが、困ったように笑ってた。

「丸聞こえなんですけど」

「お恥ずかしい」

どうも母は、ただの娘の幼馴染とはいえ、かわいい男の子二人が自分のお家にちょくちょく来る。

というのを、喜んでいたのらしい。

「オレ達、そこからバスで拾われるみたい。…知ってた?これ、行くの」

「今知った。リュックの中身、何が入ってるのか、恐ろしい」

「悠里も、用意すらさせてもらえなかったのか。全く。オレ達の親は一体何を考えてるんだか」