「翔太…私も好き」 消え入りそうな小さな声で言った。 ずっと言いたかった言葉。 ずっと言えなかった言葉。 私の胸にしまっていた、大切な言葉。 「…桜、あっちで彼氏いた?」 “あっち”とは、春風中のことだと思う。 「いないよ」 私が答えた瞬間、私たちの上に影ができた。 「へぇ…翔太ってそういうキャラやったん?」 その影は、啓史が作っていた。