涼介side


「うん、行こう!」


そんな声が聞こえたとき・・・


―――ガタンッ


隣の席のイスが俺のイスに思いっきり当たった。


「ん・・・」


そのせいで目が覚めた。


「あ・・・起しちゃったよね・・・?ごめんね」


「ああ・・・大丈夫。ちょうどよかったし」


ちょうどよかったっていうのは本当だ。


それは、そろそろ入学式が始まる頃だったから。


そして顔をあげると、背が小さくてふわふわの女が立ちつくしていた。


そいつは俺より、かなり小さくて、栗色のふわふわの髪、小さな顔には、大きな目、その目には隙間がないほどびっしりとはえているまつ毛。


そして小さな鼻にぷるぷるに潤ったさくらんぼ色の唇、色白で華奢。


芸能人かモデル?と間違えるほど、顔の整った女だった。